【お悩み相談】子どもが塾をやめてしまいました。どうしたらよいでしょうか

みなさんこんにちは。
塾長の西原です。

今回はお問い合わせにいただいたお悩み相談に回答していきたいと思います。
今回の内容は「塾をやめてしまった娘にどう対応したらよいか」です。

質問: 娘が塾をやめてしまいました

はじめまして。

ネットで西原塾の先生のお話を見て、共感しました。
中2の娘の事で悩んでいます。
アドバイス頂きたくてメールします。

娘は中1の11月に進研ゼミ(通信)を溜めて出来なくなり、栄光ゼミナールに入りました。
中1の内申44です。
中2の今まで通っていましたが、今日、退塾します。

本人に理由を聞くと「周りの子が受験に向けて凄い勢いで勉強している。自分はまだ本気になれない。ここに居ては申し訳ない。塾や先生が嫌いではない。自習室は嫌。」
何かご助言お願いします。

西原塾塾長:西原陽介からのコメント

お嬢様について

まず、お嬢様は非常に優秀であり、将来の大器を感じます。
ぜひお嬢様の思う通りに行動させてあげてください。

まず、内申が44ということから以下のことを推測いたします。

  1. 先生の指示に従う素直さがある
  2. 課題を処理する学力がある

ただし、1の素直さは時折人の指示に従うだけの愚直さにつながってしまうケースがあります。

退塾理由について

そこで重要になってくるのがお嬢様の退塾理由です。

私がお嬢様を優秀だと思う最大の理由がここにあるのですが、退塾理由がお嬢様自身の哲学に基づいているというのが素晴らしいです。

中学生という年齢は自分で考えて行動できるだけでも最近は珍しいのですが、さらに退塾理由が「勉強したくないから」「勉強についていけないから」「先生が嫌いだから」などといった誰もが持ちうるありきたりなものではなく、自分独自の哲学から来ているというのはほとんどいません。

また、お嬢様の考えは一般的ではないですが、理にはかなっています。
勉強ももちろんそうですが、将来社会に出て活躍できる人は得てして自分の哲学を持っているものです。

お嬢様はその条件をすでにクリアしている訳です。

内申点について

日本の教育における内申点という評価方法は、上で述べたように先生の指示に従うだけで、課題を処理する学力はあるけど自分で考えて判断するのは苦手な子が生まれやすいです。(日本ではこれを「真面目」と表現して評価する傾向があります。)

逆に早い時期から自分の哲学を持っている子は自分のやり方を優先するため先生の指示に反発することがあり、こういう子は内申点が低くなりやすいです。

例えば私は中学生の頃からこだわりが強かったので先生の指導に納得がいかず相性が悪く、特に中3時に偏差値70あった国語の内申点は最高で3でした。
3科5科ともに偏差値63前後はありましたが、中3の内申は27でした。

今後の対応について

つまりお嬢様は先生の指示に従う素直さがあり、かつ実際に課題を処理する学力を持っている。
その上で自分なりの哲学・感性を身に着けている、非常に稀有な素質の持ち主です。

大人の意見や一般常識といった枠にはめず、お嬢様本人に考えさせて行動させてあげてください。
ただし、大人と子供では得られる(知っている)情報が違いますので、情報は与えてあげてください。

その時は「~しなさい」「~したほうが良い」と大人の意見を伝えるのではなく、「こういうことできるよ」「こういうものあるよ」とお嬢様の判断材料を増やすアドバイスをしてあげてください。

ご家族の方からすると塾をやめてしまうと成績が心配だと思いますが、この手の子は自分の哲学の中で生きているうちにきっかけを見つけます。
そしてそこから常識では考えられない速度で成長します。ご安心ください。

お嬢様に似た私の生徒について

私のかつての生徒にもお嬢様と同じように自分の哲学を持っている優秀な子がいました。
彼女は偏差値70程の高校に進学後、校風が合わないことを理由に高1の秋に退学し通信制高校へ転校しました。

その後高3になり弊塾へ来ましたが、当時は「就職に有利なのでG-MARCHに入りたい」と誰でも考えるありきたりな理由で勉強をしていました。
彼女はもともと偏差値70の高校に入る優秀な子だったので進行速度は遅くはありませんでしたが、特筆するほど速く成績が上がってはいませんでした。

状況が変わったのは9月でした。

突然授業を休むようになり、お母様に尋ねると受験のプレッシャーで勉強に手が付かない状態になっていると相談がありました。
当時既に彼女独自の哲学があることは分かっていたので、私は今回と同じようなアドバイスをしました。

1ヶ月後再び授業を受けるようになりました。
彼女いわく「大人に聞いたり、本を読んだりして情報を集めながら自分が何をしたいのかずっと考えていた」そうです。

結果的に彼女は将来海外で働くために留学制度の手厚い大学へ行くことを自分の目標とし、具体的に成蹊大学を第1志望としました。
その時点では教えるべきことは教え終わっていましたが、まだ成績へは反映されておらず、ここから過去問を解きつつ2月までに仕上げていくつもりでした。

しかし、彼女は自分の意志で目標を定めたことがきっかけで覚醒し、私の経験にない速度で成績を上げていきました。

例えば英語は、

  • 10/2: 103/200点(2006年センター試験) 
  • 10/9: 105/200点(2005年センター試験) 
  • 10/16: 109/200点(2004年センター試験) 
  • 10/24: 116/200点(2003年センター試験) 
  • 10/30: 144/200点(2002年センター試験) 
  • 11/07: 150/200点(2001年センター試験) 
  • 11/13: 161/200点(2000年センター試験) 
  • 11/14: 162/200点(1999年センター試験) 
  • 11/19: 164/200点(1998年センター試験) 
  • 11/20: 164/200点(1997年センター試験) 
  • 11/21: 165/200点(1996年センター試験) 
  • 11/28: 170/200点(1995年センター試験) 
  • 11/28: 172/200点(1994年センター試験) 
  • 12/07: 175/200点(1993年センター試験)

このように2ヶ月の間に70点、大学のレベルで言えば日東駒専以下から早慶上智クラスにまで急激に成長しました。
こんな成長速度は私の現役時代、教え子ともに見たことがありません。

お嬢様もこの生徒と同じように何かきっかけを掴んだときに飛躍すると思います。

将来が非常に楽しみです。

相談者からの返答

お忙しい中、長文でのご助言、貴重なお話、先生の御人柄に大変感動致しました。
涙が出ました。
本当にありがとうございます。

その後、祖母から聞いたのですが、娘はバスケ部で毎日の練習に疲れ、塾の宿題がやりきれず、苦し紛れに答えを写して行っていたそうです。
信条ではないので悩んで髪の毛を抜いていました。

でも今は塾を辞め、ゲームとマンガと少しの勉強。
確かに目的がないです。

目的を持つ為に私が出来る事はありますか?
今後、成績が低迷したらどうしたら良いですか?
度々のご相談で申し訳ないので、相談料をお申しつけ下さい。

何卒ご助言下さい。お願い致します。

西原塾塾長:西原陽介からのコメント

髪を抜いていたことについて

それなら塾を辞めたのは正解だと思います。
心の健康に勝るものなどありません。

多くの中学生なら『勉強しなくてはならない』、『塾に行かなくてはならない』という固定観念や、親の意向を気にして塾を辞めるという決断はしにくいところです。

このままでは心(体も)耐えられないと判断して自ら退塾という判断を下したあたり、やはりお嬢様は優秀だと思います。

目的を持つ為に私が出来る事はありますか?

今は塾を辞めて今までのストレスから開放されたばかりです。
これまでの生活で疲弊してきた心と身体を必死に休め、回復している状態です。

いわば病み上がりなのです。
表面的には怠けているように見えるかもしれませんが、お嬢様には必要な休養期間です。

お嬢様が目的を持つためにご家族の方を始め周りの大人ができることは、先日のメールと同じになりますが、大人の『意見』ではなく、大人が持つ『情報』を与えてあげることです。
情報を与えることで子供が選べる選択肢が増え、その中で将来お嬢様の目的になるかもしれないものと出会えるわけです。

この仕事をしているとよく同じ質問をいただきますが、みなさん子供を信用しているつもりなのに、子供への愛ゆえに結果的に子供を信用できなくなっているというジレンマに陥っています。

「勉強できなかったらどうしよう」「目標が見つからなかったらどうしよう」

この心配は至極当然ですし悪い発想ではありませんが、よくよく考えるとこの考えは「自分が手を出さなければひとりでは勉強できない・目標を見つけられない」という子供の能力を信用していないところからスタートしてしまっているわけです。

かつて私達もそうであったように、子供というのは大人が思っている以上に考えています。
「私達の子供なら自分の道は自分で切り開くだろう」と信じて任せることも大切です。

今後、成績が低迷したらどうしたら良いですか?

お話を聞く限り成績が低迷することはなさそうですし、仮に低迷しても自分でなんとかしそうなお子さんですが、もし塾に通うのであれば以下の点を気をつけると良いと思います。

  • 答えを教えるのではなく、なぜその答えになるのか理屈を教えてくれる
  • お嬢様の生活習慣や勉強法に合わせた指導ができる

西原塾の指導カリキュラム・指導方針は上記2点を考慮に入れておりますので、お嬢様と相性は良いかもしれません。
ただし、前の塾を辞めてすぐ次の塾へ通うというのはお嬢様が望まない限りはおすすめしません。

あくまでも選択肢のひとつとしてご検討いただければと思います。

相談料をお申しつけ下さい。

お気遣いいただきありがとうございます。

授業の合間に返信しておりますので負担にはなっておりません。
その分ご返信にお時間がかかってしまい大変申し訳ありません。

投稿者プロフィール

西原陽介
西原陽介