不定詞を分かりやすく解説!和訳と見分け方まで徹底的に!【高校入試・大学入試】

不定詞
みなさんこんにちは。
塾長の西原です。
今回は不定詞を解説していきます。
不定詞は「to+動詞の原形」が合体してできる文法です。
原形とは動詞のスペルが過去形や三単現のSなどで変化していない状態を指します。
不定詞を理解するうえで重要な点が2つあります。
- 不定詞は名詞・形容詞・副詞のどれになっているか見分けないといけないこと
- 不定詞は「to+動詞の原形」から広がることがあること
まずはこの2点から解説します。
不定詞は見分けが必要
不定詞は「to+動詞の原形」が名詞・形容詞・副詞のどれかになります。
そして毎回「この不定詞は何詞なのか」と考えなければなりません。
例えば、
- I want to drink.
to drinkが不定詞で名詞的用法 - I want something to drink.
to drinkが不定詞で形容詞的用法 - I visited his room to drink.
to drinkが不定詞で副詞的用法
このように同じto drinkという不定詞でも違う品詞になるわけです。
不定詞の構造
不定詞は「to+動詞の原形」ですが、実は範囲が広がります。

to playがまず最初に「to+動詞の原形」で不定詞になるところですが、その後soccerまで範囲が広がって最終的にはto play soccerが不定詞になります。
不定詞は文型や「形容詞+名詞=名詞」といった合体構造などの文法的関係性がある場合、関係性が切れるまで範囲が延長され続ける特性があります。
今回はplayとsoccerに「(S)VO」という文法的関係性があるため延長されています。
なお、不定詞内部の品詞分解にはV'やO'のように「'(ダッシュ)」をつけるのが一般的です。
もう1つ範囲が延長される不定詞の例文を紹介します。

この文もto liveが最初に不定詞になるところですが、その後in Londonまで範囲が広がって最終的にはto live in Londonが不定詞になります。
今回はliveとin Londonに合体構造という文法的関係性があります。
in Londonは動詞と合体する副詞となってliveと合体しているため、不定詞の範囲が延長されています。
文法的関係性の調べ方
「to+動詞の原形」の次の単語が不定詞と文法的関係性を持っているかどうかを調べるには、不定詞のtoをIやYouなどの単語に置き換えて仮の文を作って品詞分解するとよいです。
1つ目の文はto play soccerをI play soccerと置き換えて、2つ目の文はto live in LondonをI live in Londonと置き換えるわけです。
品詞分解が成立するなら文法的関係性があり、できないなら文法的関係性がなく「to+動詞の原形」で不定詞は終わっていると判断できます。
名詞的用法
それでは不定詞の3つの品詞について解説します。
不定詞を学ぶ上で重要なのは次の2点です。
- どういう条件を満たすとその品詞になるのか
- 和訳
まずは名詞的用法から解説します。
名詞的用法の条件はS・O・Cのどれかになっていること。
和訳は「V'すること」です。
Sになっているケース

To learnが最初に不定詞となり、その後Englishまで範囲が延長されてTo learn Englishが最終的な不定詞の範囲となっています。
これもTo learn EnglishをI learn Englishと考えて品詞分解するとlearnがV、EnglishがOの構造だと分かります。
結果、この文はTo learn Englishとisとimportantの3ブロックとなり、動詞のisはV、単体形容詞のimportantはC、Vの前に置かれている不定詞はSとなります。
To learn Englishは「英語を学ぶこと」と訳し、文全体は「英語を学ぶことは重要である」となります。
Oになっているケース

to playが最初に不定詞となり、その後soccerまで範囲が広がってto play soccerが最終的な不定詞となります。
これもto play soccerをI play soccerと考えて品詞分解するとplayがV、soccerがOの構造だと分かります。
結果、この文はIとwantとto play soccerの3ブロックとなり、IがS、wantがV、to play soccerがOとなります。
to play soccerは「サッカーをすること」と訳し、文全体は「私はサッカーをすることを欲する(望む)」となります。
最後に片言の日本語を自然な表現にすると「私はサッカーをしたい」となります。
Cになっているケース

to beが最初に不定詞となり、その後richまで範囲が広がってto be richが最終的な不定詞の範囲となります。
これもto be richをI am richと考えて品詞分解するとbeがV、richがCの構造だと分かります。
ちなみに、beはbe動詞is am areの原形なので、toをIに置き換えて考えるときはamにして考えます。
この文はMy dreamとisとto be richの3ブロックとなり、My dreamがS、isがVとなります。
to be richは第2文型の特徴である「S=名詞」を確認するとMy dream=to be richすなわち私の夢=裕福になることが成立するのでCとなります。
形容詞的用法
次は形容詞的用法です。
形容詞的用法は条件が2つあり、それぞれ文章内での使い方と和訳が異なります。
条件・使い方 | 和訳 |
直前の名詞と合体する | V'するための V'するべき |
第5文型のCになっている | SはOがCするのをVする SはOにCするのをVする SはOがCするようVする SはOにCするようVする |
直前の名詞と合体する
V'するための
1つ目の使い方はその名の通り、名詞の後ろにおいて直前の名詞と合体します。
この時、「不定詞の形容詞的用法→名詞」の順に自然な和訳が成立するのがポイントです。

この文はto drinkが不定詞の形容詞的用法となり、直前の名詞somethingと合体しています。
その後は「形容詞+名詞=名詞」のルールによってsomething to drinkで1つの名詞となります。
このような「形容詞+名詞=名詞」の合体構造は①形容詞→②名詞の順に訳します。
今回はto drink→somethingの順に和訳して「飲むための何か」となります。
不自然に聞こえるかもしれませんが和訳は成立しています。
この世に存在する「何か」のうち、「飲むために」存在しているもの…つまり「飲み物」を表しています。
この文全体の品詞分解はIとwantとsomething to drinkの3ブロックとなり、「S≠名詞」なのでSVOの第3文型となります。
文全体の和訳は「私は飲むための何かを欲する」というカタコト訳を自然な日本語に変換して「私は飲み物が欲しい」となります。
V'するべき

もう1つ直前の名詞と合体している例文を紹介します。
この文はto readが不定詞の形容詞的用法となり、直前の名詞a bookと合体しています。
その後は「形容詞+名詞=名詞」のルールに従ってa book to readで1つの名詞となります。
今回はto read→a bookの順に和訳して「読むべき1冊の本」となります。
to readは「読むための」とも訳せますが、そうするとa book to readの訳が「読むための本」となります。
本はもともと読むために存在するものなのでわざわざ「読むための」と付け足すのは不自然です。
そのため今回は「読むべき」の和訳を採用します。
この文全体の品詞分解はIとhaveとa book to readの3ブロックとなり、「S≠名詞」なのでSVOの第3文型となります。
文全体の和訳は「私は読むべき本を持っている」となります。
第5文型のCになっている
SはOがCするのをVする
SはOにCするのをVする

形容詞的用法2つ目の使い方は第5文型のCにすることです。
ただし条件があり、CとC(不定詞)で「OがCする」と訳せることが必要です。
今回はhimとto cleanで「彼が掃除する」と訳せるので「OがCする」が成立しています。
文全体の訳は「私は彼が机を掃除するのを手伝う」となります。
SはOがCするようVする
SはOにCするようVする

今回はyouとto stay hereで「あなたがここに留まる」と訳せるので成立しています。
文全体の訳は「私はあなたにここに留まるよう勧める」となります。
副詞的用法
次は副詞的用法です。
副詞的用法は和訳が複数あります。
今回はその中でもよく使われる3つを紹介します。
とりあえず次の3つを覚えておけば高校入試~共通テスト・MARCHまでは困りません。
使い方 | 和訳 |
目的 | (Sが)V'するために |
感情の原因 | V'して V'したので |
判断の内容 | V'するなんて V'するのは |
副詞的用法は和訳は様々ですが、文法上の働きは普通の副詞と一緒です。
つまり、動詞・形容詞・副詞・文全体と合体します。
目的

副詞的用法の1つ目は「目的」です。
副詞的用法は基本これだと思って良いです。
目的の副詞的用法は「V'するために」と和訳します。
to be richで不定詞の副詞的用法となり、「裕福になるために」と訳します。
品詞分解では動詞workと合体し、work to be richで1つの動詞とします。
感情の原因

2つ目は「感情の原因」です。
この用法はその名の通り感情に関する単語と合体します。
感情の原因の副詞的用法は「V'して」「V'したので」と和訳します。
to meet youで副詞的用法となり、「あなたに会ったので」と訳します。
品詞分解は形容詞happyと合体し、happy to meet youで1つの形容詞となります。
判断の内容

3つ目は「判断の内容」です。
不定詞の前で性質や性格等について判断が下されていて、その内容を表す単語と合体します。
判断の内容の副詞的用法は「V'するなんて」「V'するのは」と和訳します。
to help meが副詞的用法となり、「私を助けるなんて」と訳します。
品詞分解は形容詞kindと合体し、kind to help meで1つの形容詞となります。
不定詞の見分け ~実践例~
最後に実際の英文を使って不定詞を見分けるときの流れを解説します。
基本的に「これは名詞的用法」のように答えを選ぶのではなく、名詞・形容詞・副詞的用法すべての可能性を試して文法的・和訳的に問題のないものを選びます。
例文はI want her to study English.です。
まずは名詞的用法から確認します。
形から判断するのではなく、不定詞を名詞的用法と仮定して品詞分解をしてみます。
名詞的用法
Sになっている

to study EnglishがSだとするとこの文はSVOSという文型になってしまいます。
SVOSという文型は存在しないため×
Oになっている

to study EnglishがOだとするとこの文はSVOOとなります。
SVOOは第4文型ですのでこの時点では否定できません。
次に確認するのは第4文型が成立するのかどうかです。
SVOOの条件は2つのOが≠の関係であることと、Vが授与動詞と呼ばれる「与える」系の和訳を持つ単語であることです。
wantは「~を望む」「~が欲しい」という意味を持ち、「与える」系の意味は持ちません。
よってwantは授与動詞ではないと言え、授与動詞ではないことからSVOOではないと言えます。
つまりto study EnglishはOでもないということになります。
Cになっている

to study EnglishがCだとするとこの文はSVOCとなります。
SVOCも第5文型ですが、不定詞の形容詞的用法の使い方に「第5文型のCになっている」というのがあります。
そちらが優先されるため「名詞的用法」でCにはなりません。
ここまでまとめると次のようになります。
名詞的用法はすべて×と言えそうです。
条件 | この文では |
Sになっている | SVOSになるため× |
Oになっている | SVOOになるが、第4文型の条件を満たしていないため× |
Cになっている | SVOCになるが、形容詞的用法が優先されるので× |
形容詞的用法
直前の名詞と合体

to study Englishが形容詞的用法となり直前の名詞と合体している場合、her to study Englishで和訳が成立しているはずです。
和訳の順番は①不定詞→②名詞です。
今回はto study English→herの順に訳して「英語を勉強するための彼女」または「英語を勉強するべき彼女」となります。
どちらも不自然な日本語なので×とします。
第5文型のC

第5文型のCは「OがCする」と訳せることが条件です。
今回は「彼女が勉強する」と和訳できるため問題ありません。
文全体の訳も「私は彼女が英語を勉強するのを欲する」となり、自然な表現に変えると「私は彼女に英語を勉強してほしい」となりこちらも問題なさそうです。
ここまでまとめると次のようになります。
条件 | この文では |
直前の名詞と合体している | 和訳が不自然なため× |
第5文型のCになっている | 自然に和訳できるため〇 |
副詞的用法
目的

to study Englishが目的の副詞的用法だとすると「英語を勉強するために」という和訳になります。
また、副詞的用法は通常の副詞と同じく、動詞・形容詞・副詞・文全体と合体します。
今回は動詞want以外に選択肢がないのでwant to study Englishで1つの動詞を作っていることになります。
合体構造のは①不定詞→②動詞の順に訳します。
今回は「英語を勉強するために欲する」となります。
この時点で成立しているか微妙ですが、一応もう少し確認します。
この文はIとwant to study Englishとherの3ブロックとなります。
IがS、want to study EnglishがV、herが「S≠名詞」からOになります。
第3文型の「SはOをVする」で和訳すると「私は英語を勉強するために彼女を欲する」となります。
不自然な日本語なので今回は×となります。
感情の原因
判断の内容

この2つは不定詞が合体する単語に制限があります。
- 感情の原因は感情を表す単語
- 判断の内容は性質等に関する判断を表す単語
今回は不定詞が副詞になったときに合体できる単語はwantしかありませんが、このどちらにも該当しません。
よって今回は感情の原因、判断の内容ともに×と言えます。
まとめると次のようになります。
条件 | この文では |
目的 | 和訳が不自然なため× |
感情の原因 | 不定詞の合体先がないので× |
判断の内容 | 不定詞の合体先がないので× |
唯一、品詞分解と和訳どちらも成立した形容詞的用法の第5文型のCが今回の答えとなります。
さいごに
英語を正確に読むために必要な不定詞の知識はこれですべてです。
このページの知識があれば高校入試~共通テストやMARCHの試験なら余裕です。
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